販路開拓支援
日本の伝統食材・技術を活かした新たな商品開発・販売・地域との融合
首都圏・海外展開の経験から得た新戦略事例
有限会社河野酢味噌製造工場
伝統に基づいたこだわりある調味料作り
有限会社河野酢味噌製造工場は、1888年創業以来、岡山県真庭市に湧き続ける豊富な地下水を大事に使い、今もなお変わらぬ天然醸造を行っております。当社の蔵の壁や梁や柱には創業当時から培われてきた「蔵付酵母」が住み着き、代々が新たな技術を取り入れながら、酵母菌を生かす手仕事の技の数々を受継ぎ、もの造りに対する真摯な想いとともに伝統の味を今日に伝えています。そこから生み出される製品は、まろやかでコクのある味と芳醇な香りの製品に仕上げられ、地域で愛される味として成長してきました。
販路開拓を広げる上で見えてきた自社の可能性
当社が心がけてきた昔ながらの製法は、そこから生まれるまろやかな味が好評で、県内はもちろん首都圏の百貨店・高級スーパーマーケットからも多くの引き合いを受け、広域に販路は拡大されてきました。そのような中、麹を使用した調味料が国内外から注目を浴びるようになり、当社はいち早く新ブランド展開に目を向けるようになりました。 関西の百貨店グループとの商談にて、塩レモンを使ったドレッシングの開発を提案されたのがきっかけとなり、得意の「米糀を砂糖の代りの甘み」とする技術を活かすことにより、他社には出来ないような独自のドレッシングを作り上げることで、「瀬戸内レモンドレッシング」の商品化に成功しました。
海外向けのマーケット模索で見えてきた課題
現在ドレッシング市場は拡大しており、その中で自然の甘みを訴求すれば、今日の安心・安全志向の消費者や、美容を気にする女性には受け入れてもらえる要素が多分にあることに気づきました。このドレッシングの企画は、安心・安全・美容を気にする国内および、海外特にアジア諸国の女性をメインターゲットと絞り、米麹から甘酒の素を製造している当社の強みを活かし、その甘酒から感じられている甘味をドレッシングの糖質として加え糖類を極限まで抑えた「糀味ドレッシング」は他社には無い商品として生まれ、スーパーマーケット・トレードショーへの出展を機に、食品問屋を通じて全国に広め特に関東・関西を重点商圏として販路が拡大されました。
テストマーケティングを通じて商品ブラッシュアップ
海外を視野に入れたより広い販路を目指すためには、HACCPに準拠した生産体制を取り入れ、世界に通用する製品を製造できる強固な会社に革新することが必要となりました。革新を目指す上で、HACCPの仕組みを学ぶため積極的に指導を受け、食品製造者としての基礎体力向上を目指しました。その一貫で、製造の最終工程を行う際のクリーンルームを整備、品質チェックや安定化などについて十分な精度を有する施設により、大手百貨店に対する信頼度向上を行いました。 これら、新たな企画の立案や展示会等での手応え、また自社工場の増強など積極的な改革に取り組んだ上で、アジアや欧州でのテストマーケティングや大手商社との相談会などを通じ、首都圏はもちろん海外でも通用する商品へのブラッシュアップが行われ、県産果物をふんだんに使用した新商品などが次々に生まれ、消費者を飽きさせないリリースが展開されています。
海外展開から見えてきた様々な連携の可能性
常に様々なことにチャレンジする姿勢は、多くの関係者の耳に入ることとなり、その一つの実績として県内の高校と連携した産学連携の取り組みも生まれることとなりました。高校生の若い発想に基づき、麹を使い甘口に仕上げた焼き肉のタレを開発、料理の下味にも使用できる万能調味料として企画されました。伝統技法を活用しつつ、首都圏でも通用する商品コンセプトを取り入れており、なにより、健康にも良い麹を普段の生活から取り入れて欲しいとの想いから実現しました。この取り組みは高校生の教育にも役立つこととなり、地域貢献としても広く注目を浴びる結果になりました。 伝統を大切にし、経験を活かしながら常に革新を目指す、そして新たな課題が生まれれば更に革新していく。この当社の姿勢は、食品産業だけでなく多くの企業が目指すべき「進化の姿勢」を具現化しています。